こあらの念仏日記

境界性パーソナリティー障害のことと明日の生き方を考えるブログ

20分で読めて、境界性パーソナリティ障害がわかる本

 

治療法を示すというよりは、

今の自分を整理してくれる本です。

 

自分は境界性パーソナリティ障害だと思うけど、

とにかくいまは自分で自分をコントロールできない。

感情の揺れ方が把握できない。

ただ、明らかに自分の気持ちの変化に振り回されて疲れている。

周りにも迷惑をかけている。

自分がわからない。

そんな状態の人にはオススメできる本だと思います。

 

いつも、気持ちが大きく揺れ動く出来事があったときに出てくる感情のパターンは分かっています。

カッとなって怒りが収まらなくなったり、

何も手につかない虚無感に襲われたり、

さびしくてだれかにすがってしまったり。

 

だけど、それらは断片的なもので、全体像がわからない。

だから、沢山の負の感情が自分の周りを渦巻いているような気持ちになって、それはすごく大きな不安になり得ます。

わたしは漠然と、「自分はダメな性格なんだ、ダメなところが沢山あるんだ」という認識でいました。

 

でも、この本では、

境界性パーソナリティ障害の人には「見捨てられ不安」が根底にあると定義した上で、

起こりうる感情をちゃんと整理してくれています。

 

わたしは完璧主義なところがあります。

境界性パーソナリティ障害の気質がある方は同じように完璧主義の方が多いと思うのですが、

全容を把握できていない状況が不安。

そう思う方は多いのではないでしょうか。

 

それは、境界性パーソナリティ障害でも同じだと思います。

どうしてこんなに嫌な気持ちになるんだろう。

どうしてこんな態度を取ってしまうんだろう。

自分はどうしてこうなの?

なぜ怒ってしまうの?

なぜ動けないの?

なぜこんなにさびしくなるの?

なんで?なんで?

わかっているのに、止められない。

酷いことをした気がするけど覚えていない。

精神的なものだから、掴み所がない。

自分のことがわからない。

自分の気持ちがコロコロ変わってついていけない。

 

そんな、自分の周りを朝から晩まで彷徨っているモヤモヤとしたものたちをわたしは整理できていませんでした。

「整理する」という概念が、このモヤモヤしたものに通用すると思っていなかった、と言う方が正しいかもしれません。

漠然とした感情の起伏が自分をまとっているのはわかるけど、全体像が掴めない。

全体像が掴めていないこと自体が不安。

でも、感情なんて日々変わるから、整理することはおろか、治療計画なんて立てるのは不可能だし、立てたところでなんの意味もないんじゃないか。

わたしはずっと、そう思っていました。

 

でも、この本を読んでの新たな気付きのひとつは、

「感情は整理することができる」ということ。

なぜなら、境界性パーソナリティ障害の人の感情の変化にはちゃんとパターンがあるから。

わたしは残念ながら、この本に書いてある特徴のほとんどに当てはまっていましたが、驚くことに不足がありませんでした。

わたしの悩んできた感情・行動の全部が、この一冊に明文化されていました。

 

そして、もうひとつは、

この病気を手当たり次第治していくことは難しく、一歩進んで二歩下がる、状態を繰り返すことになる。
「ちゃんと治療計画を立てて、今するべきアクションをとることで、完治させることができる」
それが、二つ目の気付きです。

目に見えない精神的なものだからこそ、

起こりうる感情や物事を整理・分類した上で、

先の見通しを立てることができる、そして治療計画を立てて遂行する必要がある、ということです。

 

気持ちの変化が起こった時に書き出してみるといいよ。

過去の思い出を洗い出してみよう。

 

よく言われますし、

ネットで調べたらほとんどのサイトに書かれている印象です。

 

でも、それを単発的にやっても全く意味がない。

とにかく病気の「全体像」を把握することが重要なのだと思います。

 

でも、当事者が全体像を把握しながら、都度都度起こる感情と向き合っていくのは大変です。

そのために、医師やカウンセラーがいるべきなのだ、と、医療機関が必要な理由もわかりました。

 

言ってしまえば、ただの情報の羅列なのに、

泣きじゃくりながら読みました。

同時に、こんなの嫌だ、変わりたい、と強く思いました。

 

 

境界性パーソナリティ障害は治せる!  正しい理解と治療法 (心のお医者さんに聞いてみよう)

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