カウンセリング10回目③(2019/2/13)
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C:あのね、ほかの考え方はない?
上司が同僚のAさんにそう言ってることをたまたま聞いたとしても、あなたには関係ないことじゃない?
彼らの対話と自分を結び付けすぎ。
ここを切り離さないとやっかいなことになっていっちゃうよね。
あなたとはまったく無関係の出来事なんです、これ。
あなたはなんでも自分のことと結びつけちゃう癖があるの。
いまこの瞬間、世界中のあらゆるところで誰かと誰かが対話していて、それは聞こえてないだけなのね。
もし全部が聞こえてしまったらあなたはどんどんもぐっていってしまうよね。
カウンセリングルームはこうやって静かで、ほかの音が聞こえない環境に1対1でいるからいいけど、電車の中にいても会社にいても、見えるものや聞こえるものを全部自分と接続してしまうとしんどくなるの。
私だったらね、さっきの上司とAさんの会話を聞いてしまったとき「あの上司、人のこと使うのうまいな」と思う。
Aさんをおだてて仕事をしてもらおうとしているんだな、と思う。
あとは、もしかしたらAさんと上司との間で過去にトラブルがあって、Aさんのことをここで褒めておこうと思って言ってるかもしれない。
そんな可能性も考えられる。
あなたから切り離された世界で起きていることはわからない世界なんですよ。
その世界で起きてることにまで責任を負おうとすると、人生が非常に複雑になってしまいます。
あなたはあなたのことに特化していくようにすると、すごく素直に、自分を高めるとか、自分がハッピーになることに専念できるようになる。
あなたには雑音が多いんだよね。
その雑音を「自分も褒めてもらえるようにがんばろう」とか、いい風に使えるんだったら、良い雑音の拾い方ね。
そうでないんだったら、もし他人同士の会話が聞こえてしまうことがあっても意識の中でバウンダリーを引く。
たとえばで話しちゃったけど「こういう捉え方もあるよ」という話を聞いてどう思う?
私:ほかの考え方を思いつかないっていうのもあるんですけど、そういう考え方があると知ったところで実行できる気がしない・・・
やっぱりマイナスに考えちゃう癖があって、それが良くないこともわかってるんだけど、どうしても意識改革できなくて、行動も変わらない。
そうなると「やっぱり自分にはできない」「わかってても変えられない」と思うことが最近とても多いです。
C:いま私が言ったことは、認知行動療法の口頭でのやり方です。
同じ状況でも違う見方ができる。できなくても、いろんな状況設定で練習を繰り返していく。
そうすると、だんだん多面的な見方があるということがインプットされていきます。
自分一人の中で、一つの考え方で堂々巡りしていくとき、その中には「状況」と「あなた」しかないですよね。
でも、同じ状況を他者がどのように捉えるかを知ることによって、多面的な見方があることを知る。
「多面的な見方をしていかないと自分を追い詰めることになる」ということに気付いていただくっていうのが、認知行動療法の第一段階です。
そしておっしゃる通り、知ったところで自分はそのようには考えられないっていうのは最初ある。あっていいの。
グループでこういうことをやることがありますが、10人いたら10人違うことを言います。
最初はそれを、へーって思いながら聞いていればいい。
「私にはできない」「そういう風に思えって言われても無理だな」って思いながらもその場にいるように努力すると、そのうち誰かの発言の中で、「ちょっとそういう風に思えるかも」「そういう考え方はできるかも」と思えるようになってきます。
そうやって自分の幅を広げていくのね。
ひとりで考えているうちは、たいていパターン化していきます。
ある状況に対してこう反応する、というパターン。
あなたの場合だと、資料提出のときに「何が言いたいかわからない」と言われるイメージがわく。
人が褒められているのを聞くと、「自分はそれほどじゃない」と言われているように受け取る。
だいたいのパターンが見えてきます。
そういう風に思ってしまう自分を否定しなくていいので、他の見方もあるということがあなたの頭の中に少しでも割り込んでくれると、一つの考え方にとらわれなくて済むようになる。
一つの考え方にとらわれちゃう傾向があるじゃない?
その脳のぐるぐる思考で。
それがずーっと頭の中でぐるぐる回っちゃうのがあなたの特性で、もともとそういう思考をしやすい人は不安も感じやすいので、自分を追い詰めていく一方になってしまうのね。
認知行動療法的なやり方をしていると徐々に、自分のこだわっていた考え方以外にも、ほかの考え方があることを認められるようになっていく。
今日ね、ふたつ紹介したい本があります。
これはご紹介したかな、認知行動療法の本。
私:はい、教えていただきました。
読んだけど、あまりできてないです。
買って、2回くらいワークシートをやってみたんですけど、そのあとできてないです。
C:そう。
これワークシート書くじゃない?
それと同じことをいま口頭でやったんだけど、ある状況があって、それについてあなたがどう感じ、どう考え、あなたの自動思考を特定して、他の捉え方を考えて、と、この作業を丁寧にやっていくと、一個の考え方じゃなく世の中を多面的に捉えられるようになる。
もうひとつは、栄養の話なのね。
書いたのは、藤川徳美先生っていう精神科医です。
ドクターも心理士も、栄養学は学んでいません。
なので、この人は独自で栄養学を学んだ人で、食事療法と、食事で補えない分をサプリで補完するということを提唱しています。
鉄不足とかたんぱく質不足は、ネガティブ思考やうつ、パニックを引き起こすということがわかってきているようなんですね。
この本のあとに、「うつ消しごはん」という本が出ていて、そのほうが読みやすいんだけど、
あなた結構難しい本読めるので、あとエビデンスを重視するからね。
最初のほうも読めると思うんだけど、読みやすさはこっちの方があるかな。
本当はね、本よりも実行してほしいのよ。
行動に移すことができない知識は意味ないので。
知識を得たあと、どうするかがいちばん大事だと思っていただきたい。
いま紹介した2冊は、この人がどういう思いでこの本を書いているのかということもわかるので、ためになるかもしれない。
もう一個、うつ消しごはんの後に漫画も入ってるのが出てて、それも読みやすいです。
合う合わないは自分でご判断してくださいね。
栄養が足りてないと、認知行動療法もお薬もなかなか入りにくいらしいです。
せっかくカウンセリング通われているのであれば、栄養面も意識するといいかもしれないと思うのでご紹介しますね。
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